第290回 師範稽古
天地投げ考察
天地投げとは、とても難しい技だ。合気道の技に簡単なものなんか一つもないのだけど、それにしても天地投げは学生のころから苦手意識があった。
苦手な原因はなんといっても両手がふさがれている、ということ。受けが両手を一本ずつ握ってくるので、どうしてもこちらの身体運用には制限がかかる。動かせる部分が限られてくるのだ。
現在においては師範のご指導の下、分かってきている部分もあり楽しさを何とか共有できたらと思う。
天地投げの表はまず握られてから、手を無視して後ろ足からさばいていく。脇にそれて地の手をひざにつけたら、天の手をあげていく。そこで、大抵は天の手をこねて相手にかぶせようとしてします。
そこが間違い。
相手にかぶせる、というよりも自分の胸の筋肉を開いていくイメージ。上記のイラストで言うと、相手の背中を後ろにやや外れるラインをねらって、天と地の手を開いておいて、さらに胸筋を押し広げる。手ではなく、その大本になる胸の筋肉を広げていくのだ。
そうすると受けをとっている方からしてみると、抵抗しえないような力が腹にどーんと乗っかってくる。腰を痛めたくはないので、受け身を取らざるをえない、という形になります。
これは裏に回ったときもやることはそれほど変わらないはずです。ポイントはやはり手の拘りをすてて、自分の身体の中心部分をいかに使うか、なのでしょう。
これから冬の稽古になって、身体が硬くなりますので、実は天地投げで相手の身体を動かし、自分の身体を暖めるのに最適な技となります。これは片手取りの呼吸法「表」にも通じる部分があって、もたれた手に拘るとすぐに力勝負になってしまいます。
感覚としては、天地上下に伸ばす、というより、胸の筋肉を開いていったら相手が倒れて、残された手が天地に別れた、という感覚です。
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本日師範稽古ですね。天気もいい!
正面打ち一教の表と裏。受けの取り方を徹底ご指導いただきました。
ひざを柔軟に折っていけるかどうか、開いていけるかどうか。
肩取り二教では、踏み込んだ肘があごをしっかりととらえる。その時、相手を見ていない。相手を崩して最後にようやく見に行く。遠い足と肘で崩す。
最終更新日: 2015年11月13日